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今回で今年2回目の函館訪問です。春には天候が悪く、天然昆布採取体験が出来ずに悔しい思いをしました。今度こそという思いで空港に降りましたが、函館は大雨で非常に寒く今回も昆布漁は無理な予感がしました。到着した20日は1日中雨で、本場折浜戸井漁協小安(おやす)支所と南茅部漁協尾札部支所で今年の昆布の状況、生産予測をお聞きした後、入札の下見に倉庫を回っただけで昆布の生産現場は視察できませんでした。小安支所では私が滞在する3日間では昆布漁は無理だろうと言われて「社長が来るときはいつも雨だから、1週間ぐらいの日程を組んだらどうですか?」と言われる始末で、2006年からの4回の訪問計12日間で昆布漁を見れたのは2007年の帰る日の数時間だけという悲しい限りです。
とは言え、ここ3年の不漁で弊社の倉庫も昆布が少なくなっているのが現状で今年は何としても仕入れなくてはなりませんので、情報を収集すべくレンタカーで各浜を回ってきました。
                                                
8月21日天候 曇 
朝方はまだ雨が降っていましたが、昼からは快方に向かう予報でしたので函館市街を抜けて北へ向かい白口浜を北から順に見てゆくことにしました。
左の昆布の乾燥風景は、砂原(さわら)地区の掛澗(かかりま)漁港での写真です。天候が悪いにもかかわらず昆布漁を行った様子でなにかうれしいものがこみ上げてきました。
車を止めて人がいる所へ近づいてみると、乾燥の終わった昆布を決まった長さに裁断しているところだった。
「こんにちは」と声をかけ、昆布佃煮の製造業者で神戸から視察に来た旨を伝えると手を止めて色々と昆布の話をしてくれました。今作業している昆布は天然真昆布であること、こちらは昨日で雨が上がり朝から昆布漁を行ったこと、砂原という地名のごとく海底は砂地であることなどを教えていただきました。
弊社ではこの地区の昆布は使用したことがないため、非常に興味がありましたが昆布を手に取ってみると砂の付着が多いような気がしました。
白口浜の北側の浜、鹿部(しかべ)での拾い昆布の風景。砂原地区の海とは違い風が強く波が結構高かった。
左の画像は、狙いを定めた昆布を波が引いた瞬間海に入って採取棒で引っ掛け引き上げている様子。周りにはたくさんの昆布が打ち上げられているが、その中で幅があり肉厚の天然昆布だけに狙いを定めているようだ。
                              
おばさんが採取した拾い昆布。昆布漁で採取される昆布と比べると幅、丈、厚さ共に劣るが、立派な白口浜天然真昆布である。
天候が悪く漁に出れない日は、家で寝ているわけににもいかず総出で拾い昆布漁をしているようだ。しばらく見ていたが、良い昆布はそうそうあるわけではなく割に合わない忍耐力のいる作業で、漁師の方々には本当に頭が下がる。
天候が回復してくれることを願いながら浜を離れ、鹿部漁協に向った。担当者との会談では、今年の天然昆布はそこそこあるとのことでほっと一安心です。
鹿部の南の大船(おおふね)漁港の風景。写真は養殖昆布を船からトラックへクレーンで吊り上げて移動しているところ。養殖昆布は天然昆布と同じく2年のため、昆布だけを見ていると私には区別できない。
漁師の方に聞くと養殖昆布の採取はこれで終わりらしい。これからは天然昆布漁一色になるようだ。
港では漁船からクレーンで魚を揚げていたので見に行くと、さんまが大量にあがっていた。関西で見るさんまと違って小ぶりで、あまり油が乗っていないようだ。函館では刺身で食べると非常に甘くて美味しいので、関西で食べるさんまとは旬が違うのかもしれない。
大船漁協の倉庫の様子。ナイロン袋入りの昆布は天然真昆布で、左奥の昆布は促成昆布でとろろなどの材料になるらしい。
昨日訪問した尾札部支所の倉庫と違い、たくさんの昆布が積まれていた。白口浜の上浜である尾札部は一昨年の爆弾低気圧の影響がまだ残っている様子で回復は来年になるとのことであったが、ここ大船では天然昆布は150トンほどあるらしく期待が持てそうだ。
大船漁港を出発し尾札部を通って木直(きなおし)に向かう。木直は白口浜で一番南にある浜である。道路に隣接して船が1,2艘しかいない小さな港(港というより船着場と言ったほうが適切かもしれない)が所々にあり、よどんだ天候の中何か寂しい表情を見せていた。
                               
左の3枚のショットは木直の海岸を走っていて特に景色の良かったところにあった船着場の写真です。
船の中には海底の天然昆布を探す水中透視器が見える。その横には数種類の採取棒が整然と並べられていた。入念に手入れされた道具を見ていると、漁師さんの昆布漁に対する思いがひしひしと伝わってくる。
海を覗いてみると、天候が悪いにもかかわらず青く透き通った海と白波が非常に美しかった。打ち寄せる波の音、潮の香り、潮風を肌で感じながらながら海面を注視していると海底の昆布が波の合間から顔を覗かせている、北海道の海の恵みを体全体で感じることの出来た貴重な時間でした。
心地よい潮風を感じながら車を飛ばし、2泊目の宿泊地恵山岬へと向かった。
8月22日天候 曇
朝、目が覚めてホテルから海を臨むと晴れ渡った空に広大な海が広がっていた。目の前には灯台が白く輝き、素晴らしいシルエットを作っていた。
今日の天気を願いながら、黒口浜へと向かう。
黒口浜古武井での拾い昆布の乾燥風景。漁師さんは気さくな人で神戸から来たことを伝えると、「むかし、山陽新幹線の六甲トンネルを掘りに神戸に出稼ぎに行っていたし、阪神淡路大震災後に阪神高速の復旧工事にも従事したので、神戸は良く知ってるよ」と懐かしそうに話してくれました。弊社が黒口浜の天然真昆布で佃煮を炊いていることを伝えると、昆布を触りながら詳しく品質の良し悪しを教えていただきました。海から上がってきた昆布はずっしりと重いが、乾燥して製品になると重量は2割程度になるらしい。
検査を待つ黒口浜古武井産天然長切真昆布1等。私が見た所この漁師さんは、雑昆布なのに伸しがかかっているし仕立ても良く品質は非常に良かった。その場で購入出来るのであれば、即買いなのだが昆布の流通は昔から変わらず複雑なものがある。ここの昆布は入札にもかからず、ある所に流れるらしい。

検査印の入った箱。北海道水産物検査協会という名が入った1等から4等までの等級を示す丸印と、加工用・白などより細かく区別する判がある。検査員の方はこの箱を下げて漁師の自宅を1件1件回るのである。
漁師の方々は、検査員のチェックをパスして初めて昆布を出荷できるので、各漁師さんは結束された昆布にシートをかけて順番を待つのである。
左の画像は検査員が等級印を押すところ。
漁師の方にとっては、手間隙のかかった昆布を出荷するということは自分の娘を嫁に出すような気持ちであろうとふっと思った。

天日干しされる天然真昆布。昨年見た本場折浜の天然真昆布とは少し形状が違う。見る限りでは白口浜と黒口浜は同じ系統の昆布のような気がする。

標高618mの恵山を背景にしたワンショット。山頂付近は活火山である証の噴煙が上がっていた。山容は大きくなだらかで駐車場周辺以外には人工構築物がないため、より雄大さを感じさせてくれる。
南斜面の展望台からは、かすんだ本州下北半島と黒口浜の海岸線が手に取るように見えた。

恵山を下り函館方面へ向かう途中、汐首(しおくび)岬にかかる頃だろうか?岩をくり貫いたトンネルを数ヶ所くぐって海の方に目を向けると、『忍者が海にいる』と思わず声を発してしまうほど奇妙な光景が目に飛び込んできた。車を止め目を凝らすと、岩場の上で何やら錨のようなものを海に投げ込み手繰り寄せている。先に絡まったものはやはり昆布である。波の高い中大変な仕事である。
後で話を聞くと、岩場に繁茂する昆布を引っ掛けて採取する方法だそうだ。漁が出来ない時は色々と工夫しているのだなと感心しました。

黒口浜の拾い昆布の様子。波と格闘しながらじっと良い昆布が現れるのを待つ姿には何かジーンと来るものがあった。
下の写真は波に流されてうずくまるお婆さん。「体を大切にいつまでも頑張ってください」と思わずつぶやいてしまいました。
恵山の展望台から見た黒口浜の海岸線のようす
今回の函館訪問は、ここ数年の不漁のため今年の昆布の出来を早く見極めたいという思いから例年より約2週間早めた。残念ながら昆布漁は見れなかったが、各浜の漁師さんから生の声がたくさん聞けたのは大きな収穫であった。道南地区全体で見ると、尾札部など減産のままのところもあるが、おおむね昨年に比べれば回復傾向であることは間違いないようだ。弊社倉庫も寂しくなっているので今年は何としても仕入れて安心したいところである。
入札にも天然昆布がぼつぼつ出始め、価格も昨年のようなことはないので何とかなりそうな感じではある。これから約1ヶ月昆布の仕入れ合戦が始まる。
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